イラストのデザインにおける役割。イラストで変わる伝達力やイメージ。
身の回りにデザインが溢れているように、イラストも溢れていますね。企業のTVCMにポスター、雑誌や本の表紙、WEBや化粧品等の小さなアイテムまで様々な媒体でイラストが使用されています。最近はSNSでも企業のキャラクターイラストを使ったスタンプやグッズの販売が増えてきました。
では、この大量のイラストが持つ、デザインにおける役割とは何でしょうか。大きく分けて、「文章の補足」「誌面や画面の装飾」「イメージを伝える」の3つがあります。
1. 文章の補足としてのイラスト
長い文章が続く説明文は分かりにくいし、読むのに疲れてしまいますね。しかし、そこに説明を補足するイラストや図解が入ることで視覚的に分かりやすくなります。例えば、商品の組み立て説明等には正確性が必要なので写実的なイラスト、子ども向けの本には子どもが想像しやすいように多少表現を誇張したイラストを添えています。
2. 装飾的なイラスト
特に雑誌で装飾的なイラストをよく見ると思います。前述の文章を補足する役割ももちろんあるのですが、特徴的なイラストで読者の目を引く働きもあります。ここでは写実性よりも、色使いや線の強弱等のデザイン性が重要になります。
いくつか例を挙げると、例えば
パキッとした鮮やかなイラストは、誌面で目立ち、カジュアルな印象を与えます。若い女性向けのファッション誌や子ども向けの雑誌でよく見かけますね。線が太くはっきりしたものが多いので、イラストの主張も強くなります。また、淡い色のイラストは、女性的で優しい印象を与えます。医療や美容関連でよく使われています。女性誌だと水彩タッチのやわらかいイラストもよく見かけますね。他にも、同系色や限られた色数で描かれたイラストはオシャレな印象を与えます。線が細いイラストも繊細でオシャレに見えますし、小さめに主張しないものが多いです。
3. 強いイメージを伝えるイラスト
雑誌のカットイラストだけでなく、本の表紙やポスター等の広告で使われるイラストはよりイメージを重要視します。それを見る対象は誰か、内容を想像できるか、テーマと合っているか等を考慮し、見た人の心により強い印象を残すことが役割となります。本の表紙で考えると想像しやすいかもしれません。対象年齢にもよりますが、子ども向けの本の場合比較的手描き感のある、やわらかくてあたたかみのあるイラストが多いですね。子どもが好み、より心に残るイラストが必要なわけです。かっこいい!と思うスタイリッシュなイラストは子ども向けではありませんもんね。
まとめ
ここまで「文章の補足」「装飾」「イメージを伝える」という役割を紹介しましたが、ほぼ全てのイラストがこの3つの役割を同時に果たすことになります。無意識に選びがちなイラストですが、それぞれの場面に合うイラストのテイストを知っておく必要があります。ふと気付いた時に、身の回りのイラストがどんなテイストで何の役割を果たしているのか考えてみると、また面白いかもしれません。
グラフィックデザイナー / K.Y