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フォントは人の心を動かす。
〜デザインの印象を左右するフォントの役割〜

看板デザインの要素には、キャッチコピーやレイアウト、色、写真などがあります。そしてフォントも印象を左右する大切な要素の1つです。看板やポスターなどで、おもしろいとか、かっこいい「文字」を見つけたことはありませんか?
文字には、楽しそうな文字もあれば、繊細な文字、優しい文字もあります。

フォントの特徴

人によって性格が違うように、フォントにもさまざまな性格や役割があります。
グラフィックデザインで使われるフォントには、和文フォントと欧文フォントがあり、今回は和文フォントについて紹介したいと思います。和文フォントだけでも千種類以上のフォントがありますが
大きく以下の3つに分けられます。

  • 明朝体
  • ゴシック体
  • 特殊書体(筆書体、手書き風書体など)

明朝体の特徴

明朝体明朝体は横線が細く縦線が太いフォントです。筆のタッチがあり、「ウロコ」と呼ばれる三角のアクセントがつきます。性格は真面目で固く、繊細、高級感、都会的などの印象を与えます。見出しから書籍本文まで幅広く使われ、女性誌や化粧品のパッケージにも多く使用されます。

ゴシック体の特徴

ゴシック体ゴシック体は、線の太さが均一なので、明朝体に比べてインパクトがあり、目に入りやすく読みやすい特徴があります。性格は現代的でしっかりした印象を与えます。簡潔に要点を伝える文章やキャッチコピーに使われることが多いフォントです。力強い、モダン、信頼感、しっかりした、シンプル、などのイメージがあり、読みやすさと存在感を両立しています。

特殊書体(筆書体・手書き風書体)の特徴

特殊書体筆書体は毛筆による手書きの筆文字です。性格は「ハネ」「はらい」があり、筆で書いた躍動感があります。和風、伝統的なイメージで、居酒屋の看板やスーパーのチラシ、お茶のパッケージ、年賀状などに使われる事が多いです。
手書き風書体はその名の通りペンで紙に書いたような個性があり、やわらかで、温かみのあるフォントです。親しみやすさを演出したいときに使うと効果的です。

このように、和文フォントの中だけでも多くの違いがあります。同じ文章や言葉でも、使うフォントによって伝わり方が変わります。真面目に見せたり、面白くなったり、簡単に印象が変わります。だからこそ、フォントを上手に使い分けることが大切だと思います。

伝えたい相手に、伝わりやすいフォントを選ぶ

雑誌伝わりやすいフォントといっても、伝えたい読み手が中学生の場合と、高齢者の場合では大きな違いがあります。また、その相手が雑誌で読む場合と、駅のポスターで見る場合では読みやすさの定義も変わっていきます。フォント選びのポイントはそれ単体の印象だけで良し悪しを判断するのでなく、「伝える相手や状況、与えたい効果に応じてフォントを選択すること」もとても大切です。

例えば、イベントのポスターには「イベントに訪れてもらいたい」、名刺には「名前を覚えてもらいたい」、チラシには「商品を購入してもらいたい」、会社案内には「安心感を与えたい」など、印刷物には必ず目的があります。目的に合わせ、読み手に受けてほしい印象を考えて、それにあったフォントを選ぶことが重要です。

小さくても、大きな役割

ブランドフォントは、デザイン構成要素の中では、とても小さなものかもしれません。しかしそれを逆手に、選び方を考えることで、印象を変えたり、ブランドに一貫性をもたせ、信頼感や安心感につなげる大きな役目をもっています。

フォントが表現する感情

パンフレットポスターやパンフレット、看板などを見かけたときには、レイアウトや写真だけでなく、ぜひフォントにも注目してみてください。
なぜ、あなたはそのポスターが目に留まったのでしょうか?
もしかしたら、その小さなフォントの感情がちゃんとあなたに伝わったのかもしれません。

グラフィックデザイナー / Y.M