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デザインの参考になる本

デザインの参考になる本をご紹介いたします。

最近読んだものや数年前に読んで印象に残るものを新旧取り混ぜてセレクトしました。 ジャンルがデザインとは直接関係のないものも含まれていますが、これらの本は、個人的にデザイン業務に大いに活かせると感じています。

01:デザイン、学びのしくみ ニューヨークの美大講師が考える創造力の伸ばし方

遠藤 大輔 (著)
発売日:2023/7/20

ニューヨークの有名美術大学、プラット・インスティテュート(プラット)で著者が実践するデザイン教育の解説書。

この本を手に取った理由は、若手デザイナーに対して、より的確なアドバイスを提供できるようになることを期待してです。本書では、デザインの学習プロセスを解説しており、デザインの習得に役立つプロセスへの理解を深め、デザイン教育の参考になります。

しかしながら、この本を読み進める際に、自身の経験と照らし合わせることで、自分自身のデザインの学びにも繋がることに気づきます。この本をとおして、経験をつんだデザイナーも、過去のデザインの経験を振り返り、新しい視点でデザインに取り組む機会を得られると思いました。

02 :ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

小山田 育 / 渡邊 デルーカ 瞳 (著)
発売日:2019/4/26
書籍URL:
https://nybrandingbook.com/

最近読んだブランディングに関する本の中で、最も共感する部分が多かったので、この本をご紹介します。この本の著者は、二人ともニューヨークの美術大学、School of Visual Artsのグラフィックデザイン科を卒業し、現在はニューヨークでデザイン事務所を経営しています。

本書では、ブランディングの重要性とその考え方、進め方が詳しく紹介されています。純粋にブランディングを学ぶためには他の本もありますが、この本ではクライアントへの「共感」を最も重要な要素として強調している点に好感を抱きました。さらに、装丁や中身のデザインも非常に美しく、この本を制作する過程に情熱が注がれていることを感じられます。

03 :20歳の自分に受けさせたい文章講義

古賀 史健 (著)
発売日:2012/1/26

文章の書き方に関する本ですが、何かを作り出すプロセスはすべてデザインに通じる共通点があることを再確認させられます。作文もデザインも、究極の制作意図は「それを見た人の行動を変える」ということです。

文章においては筆者の主張が、デザインにおいては制作側の意図がありますが、それを効果的に伝えることができれば、「それを見た人」の行動を変えることができます。読後、著者の思惑通り、自分も何か文章を書きたいという衝動に駆られます。私はデザインを仕事にしているため、同じような効果をデザインにおいても達成したいという欲求が湧き上がりました。

04 :もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎 夏海 (著)
初版発行: 2009/12/4

この本は、2010年ミリオンセラーとなりました。しかし、そろそろ読んでいない若い世代も多くなってきたと思いますので、ご紹介したいと考えます。
敏腕マネージャーと野球部の仲間たちが甲子園を目指して奮闘する青春小説です。ピーター・F・ドラッカーが著した組織管理論の手引書である『マネジメント』を偶然書店で手に取ったことを契機に、マネージャーが部の意識改革を進め、甲子園を目指すというストーリーが展開されます。

この作品は、単純に読み物として面白いのですが、マネジメントの重要性を理解するのに最適な一冊です。どの職種にもマネジメントは必要ですが、モチベーションとターゲット設定の部分は特にデザイン業に当てはめやすいと感じました。

  1. マネジメント=目的意識を持たせる(デザイン:制作者の内的動機づけ)
  2. 顧客が誰であるか?=最も重要な問い(デザイン:制作物のターゲット設定)

今まで、この本について話したことがないので、他の方の意見も聞いてみたいところです。

参考:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

05 :誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論

ドナルド・ノーマン
発売日:1990年

カリフォルニア大学サンディエゴ校名誉教授。『誰のためのデザイン?』で人間中心設計のアプローチを提示し、ヒューマン・インターフェイスやユーザビリティに多大な貢献を果たした。

参考:出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この本は、プロダクトデザインにおいて重要な「認知」について詳しく説明しています。初版から30年以上が経過した今もなお、さまざまな分野に影響を与えています。

簡単にまとめると、この本の主旨は次の通りです。

「人々はプロダクトを見て、それをどう動かし、どう利用するかを予想します。そして、その予想に基づいて行動します。プロダクトデザインは、人々の予想に合致するデザインを追求することが非常に重要です。」

この原理は認知行動学に基づいて説明されています。

初版では主にプロダクトデザインを対象にしていましたが、現在では冒頭の引用文の通り、UX(ユーザーエクスペリエンス)やUI(ユーザーインターフェース)にも適用される原理です。改訂版では、このような応用についても言及されているようです。

この本は一貫して、ユーザーにとってわかりやすさが最優先であるべきだと強調しており、ユーザーフレンドリーなデザインが具体的にどういったものであるかを理解するのに役立ちます。

まとめ

今回はおすすめの書籍を紹介しました。

最初にご紹介した書籍「デザイン、学びのしくみ」の中で、「デザインは視覚的要素だけでなく、人間の本質や行動に対する理解も必要である」という一文があります。

わたしも業務の中でそれを感じることが多々あります。

非常に奥深い世界ですが、だからこそデザインは面白いのだと思います。今後も書籍からも学びを得て、デザインに活かしていきたいと思います。

WEBデザイナー / Y.E