今流行りのレトロっぽいデザインのポイント
ここ数年、レトロブームが盛り上がっていますね。昔ながらの純喫茶やクリームソーダ、レコード、ちょっと画質の粗いフィルムカメラ…。
ブームは長期化し、レトロなデザインをモチーフにした雑貨も続々販売されています。昭和レトロブームの火付け役と言われるあの花柄のグラス、かわいいですよね。
そもそも「レトロ」とは
レトロ(retro)は、retrospective(レトロスペクティブ、回顧)の略語。古さやノスタルジーを感じさせる事物を好意的な意味で「レトロな」と形容する語(和製英語)としても使われる。
(Wikipediaより一部抜粋)
レトロは明確な年代を示すのではなく、あくまで感覚的なもののようです。
日本で今流行しているレトロは、主に昭和〜平成初期あたりを指します。
なぜこんなに流行ったのか
現代はとても便利になりました。例えば写真。今はスマートフォンでも簡単に高解像度の写真が撮れますし、すぐにその場で撮った写真の確認をして撮り直しもできます。
それに比べてフィルムカメラは画質が粗く、現像するまでどんな写真が撮れたか分かりません。
便利な現代だからこそ、そんな「不完全さ」「アナログ感」が逆に魅力的に見えるのかもしれませんね。
デザインに取り入れるには
レトロデザインと言っても、どの年代をターゲットにするかで変わってきます。ここではあくまで「レトロっぽく感じる」基本を紹介します。古いポスターや看板、フィルムカメラで撮った写真などを思い浮かべながら見ていきましょう。
主に以下のポイントがあります。
- 落ち着いた配色
- 版ズレ
- 色のかすれ
- テクスチャ
1.落ち着いた配色
レトロなカラーとして、彩度低めの落ち着いた色が多い傾向にあります。原色の派手な色というより、黄色味がかったような色、黒や灰色がほんの少しだけ混ざったような色など…。安心感や温かみのある色、と言えるかもしれません。
2.版ズレ
印刷では、版ズレ(=2色以上の多色刷りの際に文字や絵柄の色がズレて印刷されてしまった状態)が起こることがあります。このように印刷されてしまうのは一般的には良くないとされていますが、それをあえて再現してレトロ感を出します。
作業は簡単。文字や絵柄の主線(フチ)と塗り、もしくは2色に分けて、少しズラすだけです。
白背景の方は抜け感も出ておしゃれに見えますね。応用として、黄色背景は上に乗っている文字(青色)を乗算にすると、背景色と重なってよりレトロな印刷風に見えます。使い方によってはいいアクセントになってくれので、レトロデザインだけでなく覚えておいて損のないテクニックです。
3.色のかすれ
全くムラのない綺麗な色の塗りより、所々劣化して色がかすれたような表現を入れると、アナログ感・レトロ感が出ます。
4.テクスチャ
この作業がレトロ感を出すための一番の近道かもしれません。印刷物は劣化すると黄ばんだり傷が付いたりしますよね。それを表現するためにテクスチャを重ねます。
例えば、古紙。黄色っぽく、ザラザラした質感だと古さが出ていいと思います。これをデザインの一番上に乗算で重ねるだけ。お手軽ですね。一番上に重ねることで、文字、写真、イラスト全てに影響を与えて雰囲気を出してくれます。
他にも、IllustratorやPhotoshopの機能でテクスチャ→粒状を使うと、画質の粗い写真のような雰囲気になります。粒状は特に、写真に効果をかけると分かりやすいですね。少し灰色がかったように暗くなって、よく見るとザラザラとした質感に見えると思います。
まとめ
紹介したものはあくまで一例ですし、他にもターゲットにする年代によって変わってきます。ですがここまでで、「レトロっぽい」=「アナログ感のあるデザイン」となんとなく感じられたのではないでしょうか。
「○○っぽいデザインを作りたい!」と思ったら、「そもそも○○っぽいデザインって何だろう?」と一度立ち止まって考えたり調べたりすると、新しい発見があってデザインも面白くなるかもしれません。
グラフィックデザイナー / K.Y