Illustratorを効率よく使いこなすには?
現役デザイナーがご紹介します!
私がデザイナーの仕事の工程で、一番大切にしている部分は「ひらめき」と「アウトプット」です。そうしてアウトプットにたどり着くまでに色々なことを考えます。
誰が見る?いつ使う?どこで?なぜ?テイストは?色は?フォントは?サイズは?などなど…。考えることは多岐にわたり、そこに時間を割くためにも、イメージしたものを効率よく、スピーディーに制作する必要があります。
そこで今回私が紹介したいのは、デザイナーならぜひ知っておいてほしいIllustratorで作業するときに便利なショートカットやツールです。
Illustratorのショートカットキーはデフォルトでも約400個ほどあると言われています。
ショートカットキーや便利ツールを使わなくてもデザインはできますが、同じものを制作するにしても、ツールバーやパレットから、その都度選択しているとトータルでかなりの時間を費やすことになります。一瞬で変更できるツールを知っておいて損はないと思います。
作業時間を減らすことでデザインを考えることに時間を割くことができ、クオリティの向上につながります。
ぜひ、ショートカットキーや便利ツールを覚えて作業効率をあげていきましょう。
毎日使える簡単ショートカットキー
「ショートカット等のテクニックを使うことで年間100時間の時短を実現」という内容の書籍が出ているほど、毎日よく使用するソフトにおいて、ショートカットは作業効率向上にとても有効です。
ショートカットキーを使う準備は、右手はマウスやペンタブを持って、左手はキーボードに添えるだけです。ショートカットの重要なキーはキーボードの左側に集まっていて、「⌘」「Ctrl」「Shift」と組み合わせるだけなのです。とても簡単です。
手のひらツール(スペースキー+ドラッグ)
これは毎日使う機会が多いのではないでしょうか。Illustratorの作業画面を動かすツールです。スペースキーを押しながらドラッグすると好きな画面に素早く移動させることができます。もし、画面下のスクロールバーで移動している人がいたら、今すぐ使ってみましょう。
保存(⌘S)、別名保存(⌘ShiftS)
作業途中でフリーズしたり、Illustratorが落ちてしまったら制作に費やした時間が無駄になってしまいます。こんな事態にならないように、こまめに保存しましょう。そのたびにツールバーから保存していると効率が悪いので、⌘Sで保存しましょう。これも毎日よく使うショートカットです。
スポイトツール(Iキー+クリック)
スポイトを使うと、線や塗り、アピアランスから、フォントや段落の属性まで吸い上げてコピーすることができます。変更したいオブジェクトを選択したあと、Iキーでスポイトツールに変更して、属性を抽出したいオブジェクトをワンクリックで吸うことで、適応されます。これもとても時短になる便利ツールです。
背面にペースト(⌘B)、前面にペースト(⌘F)、同じ位置にペースト(Shift⌘V)
⌘Cでコピーしたオブジェクトを⌘Vで画面中央にペーストするのではなく、⌘Bか⌘F、Shift⌘Vでペーストします。アートボードを変えても同じ位置にペーストされるのでとても便利で時短になります。私はIllustratorではただのペースト(⌘V)はあまり使用することはありません。
再選択(⌘6)
一つ前に使用した選択方法を再度実行します。よく使うのは「選択>共通>カラー(塗り)」で選択をした後に、再度別のオブジェクトに使うことが多いです。ショートカットキーに割り当てがないものを別オブジェクトで複数回使用する時によく使います。
隠す(⌘3)、すべてを表示(option⌘3)
作業中、不要なオブジェクトを隠して作業できます。複雑にオブジェクトが重なっている時や修正時によく使います。
データ入稿時にはすべてを表示して隠れているものはないかチェックすることをお忘れなく。
⌘ロック(⌘2)、ロック解除(option⌘2)
隠す必要はないけど、オブジェクトが動かないでほしい時に使います。オブジェクトが増えてきた時に、下の方にあるオブジェクトだけを動かしたい時にとてもスムーズに作業できます。
知っていると時短で便利「カラーガイド」
作業している時に配色で悩むことがあると思います。そこでとても便利なのがカラーガイドです。ベースカラーからハーモニールールに従った色の組み合わせを教えてくれたり、複数の色の組み合わせを編集することもできます。
ベースカラーに合わせたハーモニーカラーを選ぶ(単色)
メインカラーをクリックしてプルダウンすると、補色・隣接補色・調和色・ペンタードなどの配色を25パターンほど教えてくれます。昔は配色本を参考にしましたが、それがワンクリックで可能になります。
色の組み合わせを編集できるライブカラー(複数色)
複数の色の組み合わせを変えたい時に便利なのは、ライブカラーです。
「オブジェクトの再配色」の「編集」で「ハーモニーカラーのリンク」にチェックを入れると、色相の位置を保ちつつ色の配色・濃淡を変えることができます。例えば、秋カラーで作っていたものを、春カラーへ瞬時に変更することができるイメージです。
アートワークや画像からカラーパレットを抽出できるカラーテーマピッカー
2021の追加機能で、「カラーテーマピッカー」が追加され、ベクターやラスタライズオブジェクトからカラーテーマが抽出できるようになりました。
カラーガイドは、このようにたくさんの機能が搭載されていて、どれも実用的で覚えておきたいツールばかりです。カラーで迷った時や、お客さまに何パターンか提案したい時など、素早く対応できます。難しいニュアンスカラーの配色も簡単に対応できます。
CMYKをDICやPANTONEなどの特色に置き換えてくれるカラーブックもありますので、カラーチップとにらめっこする必要はありません。
「カラーガイド」はまるっと時短になるおすすめツールです。
まとめ
今回紹介したショートカットやツールはほんの一部ですが、私の体感では覚えるだけで気持ち2倍くらい作業が早くなるように感じます。
私は、作業中にツールバーやツールパネルからツールを選ぶことは、ほぼないです。効率を重視するとショートカットキーを覚えたほうが断然作業が早いからです。作業時間を短縮しお客様との議論・検証・ブラッシュアップなどに時間を充てることで、よりクオリティを向上することができます。
一見地味だけど、実はとっても大事な「Illustratorの技」のご紹介でした。
ぜひ参考にしてみてください!
グラフィックデザイナー / Y.M