色の機能とは?デザインにおける色の役割
色が人に与えるイメージとは
人間の目から入る視覚情報のうち、80%以上が「色彩の情報」と言われています。色が人に与える影響は大きく、配色1つで好印象にも悪印象にもなります。人は色に対してイメージを持っているので、デザイナーはそのイメージを活用する必要があります。
色のイメージに関する調査で面白い記事があったのでご紹介します。
世界20ヵ国で行われた色彩調査で色のイメージに関して、抽象的な言葉に対してイメージする色を質問するというものです。
『幸福』でイメージする色は?
日本やアジアはピンクを挙げますが、欧米は黄色になります。あるいは『家庭』でイメージする色はどうでしょう? 日本やアジアはピンク、他の国は青も選ばれます。このことから、アジアは家庭や幸福の中心に母性的なものを、欧米は父性的なものを求めることが見えてきます。色のイメージはその国の文化や教育によってイメージする色が変わってくるということが分かります。
上記のようにイメージを視覚化する『色』の役割と、交通標識のように普遍的な情報としての役割である『色』があります。交通標識には赤色、黄色、青色、緑色が基本として使用されています。この各色は視覚的な見やすさだけでなく、人間の心理までも考えられて色が決められています。
1.赤色
「規制標識」危険や禁止によく使われる赤色
消防車が赤いのも注意をひく色であり、人間の感覚に訴える効果があります。
2.黄色
「警戒標識」注意に使われる黄色
赤と同じようによく目立ち、人の目には前方に飛び出して近く大きく見えるという特性から、標識以外にも児童の帽子など注意を喚起するものに使われています。
3.青色
「指示標識」「案内標識」目に付きやすく読み取りやすい青色
くっきりと明るい青は、視認性が高いため、情報を伝える色としてよく使用されています。
特に「白地に青」や「青地に白」の文字は、瞬時に判断し、正しく情報が伝わりやすい効果があります。
4.緑色
「高速道路標識」気持ちを落ち着かせ和らげる効果があり、早いスピードで走っていても確実に読み取れる緑色
自然界に最も多いカラーで、目に優しく、頭をすっきりさせる作用があり、安全・安心のサインでもあるので非常口への誘導として使われています。
このように色の使われ方には当然ですがちゃんとした意味があります。そのなかでも(4)の非常口表示灯について少し調べてみました。人が逃げるピクトグラムのサインは誰でも知っているサインですが、非常時の重要なサインであるにも関わらずなぜ赤ではなく緑色なんでしょうか?
(4)の「高速道路標識」視覚効果から推測すると非常時に気持ちを落ち着かせて行動させようとするための色と言うことは分かります。
さらにもう1点重要な理由があります。非常時=火災発生時の白煙の「白」や、火の「赤」に対して、はっきり見えるためです。赤と緑は補色の関係にあるということも理由の1つなのです。
まとめ
デザインにおいて『色』はもっとも重要な要素の一つです。日々の制作の中で、デザイナーは商品イメージや経験値から導き出した色を瞬時にデザインに反映していきます。そして、それらは無意識ではなく人々のイメージや環境など様々な情報から導き出します。
非常口のサインのように単純に目立つから「赤」ではない理由の部分がデザインの意味であり価値であると思います。それはプロダクトデザインにおける『形』であり、インテリアや家電でもただおしゃれだからこの形。ではなく機能が考えられた上での『形』には説得力があり何よりもかっこいいです。それこそまさに『色』における機能美ではないでしょうか。
グラフィックデザイナー / K.T