そのPDF、プロパティ情報と容量は大丈夫ですか?
Web制作の作業の中には「PDFをWeb上にアップし、ダウンロードリンクを設定したい」というものがあります。
Webサイトを制作する場合、コーディングソースであるHTML内のMetaタグやTitleなどのページ情報は、SEO対策もあり気に留めやすい部分ですが、PDFについてはあまり気にせずにネット上にアップしている状況を見かけます。しかし、実は注意しなければならない点がいくつかあります。
制作の流れの中で、WebサイトにアップするPDFを社内のグラフィック担当や社外から受け取ることがあります。そのファイルの中には制作情報が残ったままになっていることがあるため、公開前に確認して削除や書き換えるなどして気を遣う必要があります。
PDFファイルのプロパティ情報の確認
ローカル環境にあるPDFファイルであればAdobe Acrobat Pro(以下Acrobat Pro)で開いて、画面上を「右クリック」→「文書のプロパティ」で情報を確認できます。Acrobat Proのメニュー[ファイル]→[プロパティ]からも同様に確認することができます。
[文書のプロパティ]のタブ[概要]を選択するとそこに制作時の情報が残っていることがあります。プロパティ情報を確認して不要な情報は削除や修正を行いましょう。
ネット上のPDFリンクをブラウザで開くとタイトルタブ上に[文書のプロパティ]のタイトルが表示されているのがわかります。
※PDFファイルによっては制作側でロックをかけている場合があり、制作情報が変更できないことがあります。
PDFファイルサイズの圧縮
ネット上にアップするPDFのファイルサイズの圧縮は大切な作業です。
印刷データとしてのPDFはデータの軽さよりも解像度や画質の高さを優先しますが、ネット上にアップして表示またはダウンロードするファイルは、キレイかつ軽いに越したことはありません。パンフレットやポスターなどの印刷用PDFデータはいくつかの方法でファイルサイズを圧縮することができます。
Adobe IllustratorのAIファイルをPDF化
- メニュー[ファイル]→[別名で保存]→ファイル形式で[Adobe PDF]を選択→[保存]
- [一般]の[Illustratorの機能を保持する]チェックをはずします。
- [圧縮]→カラー画像の「圧縮」で[JPEG]を選択し、「画質」を選択する。
まずは画質「最高」でPDFを作成してファイル容量を確認し、さらに画質を下げていくことをお勧めします。
さらにファイルサイズを圧縮したい時
印刷データは基本的にドキュメントのカラーモードが「CMYK」になっています。それを「RGB」に変更して再圧縮するだけで、もう少しファイルサイズが小さくなります。
※カラーモードの変更により、色の見え方が変化する場合がありますのでご注意ください。
Illustrator作業だけでPDFの作成やファイルサイズの圧縮はできますが、Acrobat Proをつかうことにより、更に軽量化することができます。参考で弊社のパンフレットをPDF化して容量を圧縮し、ファイルサイズを計量してみました。
A | Illustratorでaiファイルを圧縮なしでPDF化 | 283MB |
B | Illustratorでaiファイルを圧縮[JPEG]、画質[最高]でPDF化 | 11.6MB |
C | ●(A)でPDF化したファイルをAcrobatProで [ページを整理]で1ページずつに分割 ●分割したPDFをそれぞれ[PDFを最適化]→[高度な最適化]→[jpg画質:最高] ●[ファイルの結合]でPDFを再連結 | 8.57MB |
Illustratorの段階でカラーモードをRGBにして画像を全て埋め込み、テキストはアウトライン化しないようにする事でさらに圧縮できます。複数枚のアートボードで制作したデザインデータをPDF化し、圧縮する方法は、まとめると以下のようになります。
<Illustratorで作業>
1. 文字はアウトライン化せずテキスト流し込みのまま
2. ドキュメントのカラーモードをRGBに変更する
3. リンク画像は埋め込む
4. 別名保存でPDF化する
<Acrobat Proで作業>
5. PDFを「ページを整理」で1ページずつに分割する
6. 分割したPDFを個別に [PDFを最適化]→[高度な最適化]→[jpg,画質:最高]で7. 圧縮する
[ファイルの結合]で一体化する
※データ内の写真や文字の量など、構成要素によってファイルサイズの圧縮の幅は大きく変わってきます。期待する程の効果を得られない場合もありますので元データを残すことを忘れずに!
PDF変換前のMicrosoftファイルのプロパティ情報について
Acrobat Proを持っていない場合、WordやExcelなどは印刷機能でPDF化できます。その場合、PDFに作成者の個人情報が残ることがあることを知っていますか?制作者自身が直接相手とやりとりする場合は良いですが、他の人が作ったファイルを流用して追加作成し、それを社外に配布等する場合はかなり気を使うべきポイントです。
Wordの場合[ファイル]→[情報]に作成者の情報が残っています。不要な情報は削除してからPDF化しましょう。ちなみにAcrobat Proがインストールされていないパソコンでは、PDFの制作情報を編集することができませんので、ご注意ください。
まとめ
ネットの通信環境が良くなり重いファイルでもサーバー上のファイルをダウンロードできるようになりました。しかし、閲覧や配布を目的としたPDFは様々なネット環境を考慮して、できるだけファイルサイズを軽くしておいた方が良いでしょう。
また、PDFに制作情報が残ったままのファイルが不特定の方にダウンロードされたり、意図せずに第三者間でやり取りされたりすることがあります。サーバー上に置くファイルや他の人にファイルを渡す場合はその前にプロパティを確認し、個人名や非公開にすべき情報は事前に削除や書き換えをしましょう。
WEBプログラマー / H.C