ユーザーにとって価値ある情報を繰り返し発信していく「まるログ」

勇気を与えてくれる! クリエイターの「言葉」

勇気を与えてくれる! クリエイターの「言葉」
こんにちは。クリエイティブディレクター・アートディレクターのO.Hです。

デザイナーは「感覚の人」ではなく「考える人」である!

以前このブログに、デザイナーは社会に対して献身的に「考える人」であることが大切と寄稿しました。感覚の優れた特別な人がデザイナーになれるのではなく、様々な物事について注意深く「考えることのできる人」に資質があるという内容です。しかし実際には、デザイナーの職能は注意深く「考える」だけでなく、その考察の結果を一つの「答え」として視覚的に提唱しなければなりません。

デザイナーとは「考える人」そして、「答え」は簡単には導き出せないことがこの仕事の常です。解法へと繋がるアイデアを思いつくたびに一喜一憂、その「答え」が本当に正解なのか否か。確信が持てる「答え」を見つけ出すまで悩み、検証し、試行錯誤を繰り返す、これぞ産みの苦しみというものです。

デザイナーとは「考える人」であり、言い換えれば「悩み多き人」であると言えます。つまり、苦悩する日々を永遠と繰り返し続けていく職業で、「悩むことが仕事」といっても過言ではないでしょう。

このように「悩むことが仕事」であるデザイナーという職業ですが、私にはその悩みを受け入れ、解消していく方法が2つあります。

1つは、既存の素晴らしいクリエイティブや作品などを注意深く鑑賞することです。作品に内包される要素を注視しアイデアや構造を理解することで、解決すべき問題に対するデザイン的解法を知ることができます。このある種の追体験に似た行為は、悩みの根源を打ち消す視覚的なヒントを与えてくれると共に、創作についての前向きな考察を促してくれます。

思考を再生そしてもう1つの方法。
それは、尊敬するクリエイターの「言葉」に触れることです。その「言葉」は、行き詰まった停止寸前の思考を再生し、クリエイティブへのモチベーションを上げ、精神的な勇気を与えてくれます。それでは、デザインに迷い悩んだ時、やる気と勇気を与え創作意欲を奮い立たせてくれるクリエイターの「言葉」を紹介したいと思います。


「デザイナーはデザインを通じて時代そのものと対決せねばならない」
田中一光(グラフィックデザイナー)
出典:田中一光「田中一光自伝 われらデザインの時代」


「締め切りが完成」
仲條正義(グラフィックデザイナー)
出典:水野 学「いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書」


「デザインは技能ではなく物事の本質をつかむ感性と洞察力である。だからデザイナーの意識は社会に対していつも敏感に覚醒している必要がある。」
「新奇なものをつくり出すだけが創造性ではない。見慣れたものを未知なるものとして再発見できる感性も同じく創造性である。」
原研哉(グラフィックデザイナー)
出典:原 研哉「デザインのデザイン」


「さりげなく良い仕事をする人。頑張るとか一生懸命とか、表に出すなっていうふうに思うんですね。頑張るとか一生懸命とかって、当たり前だっていうことです。」
佐藤卓(グラフィックデザイナー)
出典:プロフェッショナル 仕事の流儀「“自分”を消して、ヒットを生みだす~グラフィックデザイナー・佐藤卓」


「デザインは、何かを「生み出す」ことではなく、「見つけ」「見い出し」「繋ぐ」ものであること。」
佐藤卓(グラフィックデザイナー)
引用抜粋:「気付かれないデザインこそ、デザイン。佐藤卓さん(グラフィックデザイナー)


「僕も含めてすべてのデザイナーにとって大事なのは、「気を遣う」こと。気を遣うというのは、第三者のために将来をシミュレーションし、何をやるべきかを察して、今のうちに施すということですよね。それが、まさにデザインなんです。」
佐藤卓(グラフィックデザイナー)
引用抜粋:「佐藤卓が考える身体的デザイン論。よいデザインは気づかれない?


「その前提は正しいか?疑うことがクリエイティブの出発点。」
「外見と中身を分けて考えている人がいるが、外見は一番外側の中身なんです。」
佐藤可士和(クリエイティブディレクター・アートディレクター)
出典:佐藤可士和「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」


「アートディレクターは医師 デザインは処方せん」
「対象物のなかに答えがある」
「コンセプトを磨かないとモノは売れない」
佐藤可士和(クリエイティブディレクター・アートディレクター)
出典:プロフェッショナル 仕事の流儀「ヒットデザインはこうして生まれる~アートディレクター・佐藤可士和」


「無視されるよりも、けなされるほうがましです」
「作品に対し『よかったですね』『綺麗だったですね』と皆から評価を受けたら、不安で仕方ないです。そんなにわかり易いものを作ったのかと、自己嫌悪に陥ってしまいます」
川久保玲(ファッションデザイナー)
出典:2011年8月25日付ウォールストリートジャーナルインタビュー


「すでに見たものでなく、すでに繰り返されたことでなく、新しく発見すること、前に向かっていること、自由で心躍ること。」
川久保玲(ファッションデザイナー)
出典:COMME des GARÇONS 1997年春のDM


「『あ、そのレベルはいくらでもいるよ』っていう話で、ハードルはそれだけ高くなる。でも、そのハードルが、作品のクオリティを高めてくれるんですよ」
坂本龍一(作曲家)
引用抜粋:「【坂本龍一】ビジネスパーソンに効くサバイバル名言集1


「負けることから独創が生まれる」
隈研吾(建築家)
出典:プロフェッショナル 仕事の流儀「負けることから独創が生まれる 建築家・隈研吾」


「私は新しいものをつくり出す心、古いものを大切にする心、その両方が必要ではないかと考えています。」
安藤忠雄(建築家)
引用抜粋:「闘い続ける建築家、安藤忠雄インタビュー


「心血注いでも駄作は駄作。鼻歌混じりで描いても傑作は傑作」
藤子・F・不二雄(漫画家)
出典:藤子・F・不二雄「エスパー魔美」


「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」
井上ひさし(作家)
出典:井上ひさし「The座」


いかがでしたか?物事の本質を捉えた彼らの「言葉」は、自身の素晴らしいクリエイティブや作品とも共鳴して説得力があります。また、その「言葉」からは、人間らしい苦悩や考察に触れることができると思いませんか。一流と呼ばれるクリエイターでも、同じように苦悩を抱えながら創作していることを知り、彼らに少しだけ近づくことができたような気持ちになるのは私だけではないはずです。

苦悩は前に進むためのエネルギーデザインとは「悩むことが仕事」。ある物事について考え、「答え」を見つけられず悩み分からなくなることは、考える前より一歩前進したと思って良いでしょう。苦悩するということは、対象について様々な角度から考察をしている証拠で、決して導き出すべき「答え」に対して後退しているわけではないのです。むしろ、苦悩は前に進むためのエネルギーであり、苦悩こそがクリエイティブのおもしろさでもあると思うのです。

それでは最後に、万能の天才と呼ばれた偉人の言葉を。
「大いなる苦悩なくしては、如何なる完成も才能もあり得ない」
レオナルド・ダ・ヴィンチ(芸術家)

クリエイティブディレクター・アートディレクター / O.H