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PDFでの入稿・下版方法!
~プリフライトで失敗しない~

PDFでの入稿・下版方法!印刷会社やネット印刷に入稿する場合、AiデータやEPSデータで入稿するのが一般的でしたが、最近ではPDF入稿を推奨する印刷会社も増えてきました。以前もまるログで書きましたが、Aiデータでの入稿方法は確認事項が多く、特に慣れていない人には負担に感じる方も多いと思います。データが不完全だと印刷できなかったり、印刷物が意図しない結果になってしまうなど、失敗してしまうことがあります。
そこで今回はAiデータでの入稿に比べて負担の少ない、PDF入稿についてご紹介します。

PDFで入稿のメリット

フォントのアウトライン化フォントのアウトラインがいらない!

PDFはフォントをファイル内に埋め込むのでアウトラインは不要です。フォントが化ける心配はありません。
※バリアブルフォントやカラーフォントなど一部のフォントはアウトラインをとる必要があります。
※フォントのアウトライン化が必要か否かの確認は、後述のプリフライトチェックで確認することができます。

画像のリンク切れがなくなる!

フォントと同様、PDFは画像を内包するのでリンク切れがおきません。
Aiの印刷データの不備で一番多いのは、画像のリンク切れです。PDFで入稿すれば、エラーで再入稿なんてことはなくなります。Ai入稿の時はリンク画像をフォルダに集める必要がありましたが、PDFの場合はファイル1つでOKなので、シンプルで簡単です!

OSやソフトウェアの環境制限がなくなる!

Aiで入稿する場合、印刷会社で使用しているOSやソフトウェアのバーションに合わせないとエラーがおきることがありましたが、PDF入稿であればOS・バージョンの制限がありません。自分の使いたいOS・ソフトで制作し、PDFにすれば入稿可能です。

PDFで入稿すれば文字化け、リンク画像の不備などAi入稿でよくあるエラーはなくなります!

入稿用PDFのつくりかた

PDFと言っても様々な規格があり、入稿用データの場合は印刷に適した「PDF/X-4」の規格にする必要があります。illustratorなら簡単に「PDF/X-4」に書き出すことができます。

PDFで保存

  1. 制作したAiデータにトンボと塗りたしをつけ、アートボードの中心に配置します。
  2. 《別名で保存》Adobe PDF(pdf)を選んで保存する。
  3. 《PDFプリセット選択》Adobe PDFプリセットを「PDF/X-4」にする。
  4. 画像のクオリティにこだわるのであれば、「圧縮」で画像の圧縮を設定します。「ダウンサンプルしない」にすると圧縮しなくなるので、元画像のクオリティで出力されます。
    ※デフォルトのままでも問題ありません。
  5. 最後に《PDFを保存》を押して完了です。

PDFのチェック

プリフライト

完成したPDFにエラーがないか、Adobe Acrobatで開き、「プリフライト」や「印刷工程」でチェックします。

「ツールタブ」→「印刷工程」→「プリフライト」を選択。PDF/XのPDF/X-4を選び《解析》を押す。
解析結果が表示され、特に問題がなければ「問題は検出されませんでした」と出ますのでそのまま入稿できます。エラーがあれば、レポートを確認し元データを修正する必要があります。
PDF/X-4で注意したいことは、RGBカラーや特色を保持できてしまうため、これらの画像もそのまま保存されてしまいます。そのため、プリフライトではRGB画像や、特色を使用していてもエラーがでません。印刷の工程で、RGBデータや特色データは強制的にCMYK分解されて色味が変わってしまいます。
※入稿データに特色が含まれている場合、印刷会社の設定によってはCMYK+特色という形で版が出力されることがあります。

PDF出力プレビューCMYK以外の色が使用されていないかチェック!

入稿用のPDFをAdobe Acrobatの「印刷工程」で「色数」を確認します。
「ツール」→「印刷工程」→「出力プレビュー」を選択します。ここの「表示」プルダウンメニューで色分解をチェックできます。

まとめ

PDFでの入稿・下版方法!

PDF入稿は簡単で、「プリフライト」や「印刷工程」を併用すればエラーを防ぎ易い入稿方法です。
illustratorだけでなく、Office系ソフトから変換したPDFなどにも対応しているので、特別なグラフィック系ソフトがなくても、より手軽に印刷会社に発注できるようになってきています。以前は色々と確認事項が多く、入稿作業は難しい印象がありましたが、PDF入稿にすることで、かなりハードルが下がったのではないでしょうか。
※Office系ソフトで作成した入稿データはRGB設定になっていることが多く、この点が心配な場合は印刷会社に相談すれば、色味の変化を最小限にすることができます。

グラフィックデザイナー / Y.M