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特色印刷と4色カラー印刷
~特色を効果的に使おう~

特色印刷
本の表紙や、お菓子・コスメのパッケージ、フライヤーなどで、鮮やかなパステルカラー、蛍光色、金、銀などあきらかによく見る印刷とは違う個性的な印刷物を時々見かけませんか?そんな印刷物は「特色」を使って印刷されていることが多いです。今回はその「特色印刷」について書きたいと思います。

特色印刷と4色カラー印刷の違い

cmyk普通の印刷物は、CMYK(Cyan・Magenta・Yellow・Kye plate [Black])の4色インクで制作し、全ての色を再現します。この4色をプロセスカラーといいます。「ブルーとイエローでグリーン」「レッドとイエローでオレンジ」という絵の具の混ぜ方と同じ原理で様々な色を作ります。印刷の際、インキを混ぜるのではなく、4色の版(アミ点)を重ねて色をつくりだします。色の濃い薄いは、アミ点という点の密度を変えることで再現します。

特色印刷特色印刷(スポットカラー)は、指定した色に合わせて調合したインクを1色だけで印刷します。1色で印刷するので、版は1つです。何百種類もの特色の中には、蛍光色や金・銀などのメタル色、パステルカラーが含まれていて、これらはプロセスカラーでは絶対に再現できません。
プロセスカラーに特色をプラスしたり、特色2色で印刷したり、表現の幅を広げることができます。
プロセスカラーは、4色のアミ点を重ねて印刷するので、色が濃くなったり沈んだり、文字がぼやけたりする現象がおこりますが、掛け合わせをしない特色印刷は濁りがなく、色を鮮やかに、安定して表現できます。コーポレートカラーなど特別なカラーも、特色を使えば正確に再現することができます。

どうやって特色を指定するの?

色見本帳金や銀、蛍光色など特殊な色を使って印刷したい場合は、色見本帳(色チップ)を使って指定する必要があります。有名な色見本帳は「DIC」「PANTONE」です。これらは世界共通の色見本です。文化の違う海外に、淡い色からビビットな色まで言葉で色を伝えることは難しいですが、色見本帳を使えば、簡単・正確にその色を伝えることができます。

pantoneちなみに、PANTONEが毎年発表する『Color of the Year』が2019年の色に選出したのは、「PANTONE 16-1546 Living Coral 」です。
鮮やかなピンク色です。色に迷ったらトレンドカラーを使用してみてもいいですね。

illustratorで特色を確認する場合は、「スウォッチライブラリ」→「カラーブック」を選択すると、DICカラーやPANTONEカラーの番号を確認できます。ただ、画面上で見ている色と、印刷した時の色は異なるので、必ず色見本帳を確認してみてください。
※スウォッチライブラリの特色オプションはプロセスブックのCMYK値を使用にしておきましょう。

まとめ

特色印刷黒と金、黒と蛍光色で印刷すると高級感を出せたり、コーポレートカラーを特色で印刷することで、4色カラー印刷と比較して、より正確に色を再現できるためブランドイメージの統一を図り易くなります。特色印刷を上手く取り入れると、通常のカラー印刷ではできないような面白い効果を生み出すこともできます。デザイナーの力量が問われる印刷方法とも言えます。また、色数を減らすことで、コスト削減にもつながります。
普段気にしていなくても実は様々な場面で特色が使われているのです。他の印刷物と差別化を図って、個性的で目立つデザインに仕上げたい時には、特色を効果的に取り入れるのもひとつの方法だと思います。是非検討してみてはいかがでしょうか。

グラフィックデザイナー / Y.M