「思いつき」を「アイデア」だと勘違いしてはいけない!
「良いアイデアが浮かびました!」
打合せの際、デザイナーはお客様に対してこう簡単に口走ってはいけません。
ここで使われる「アイデア」とは、多くの場合それはただの「思いつき」に過ぎないからです。
十分に確信が持てない時は「ちょっと、今思いついたんですけど…」くらいに言うのが無難です(笑)
「思いつき」と「アイデア」は似ているようで全く違うものです。
では、この二つは何が違うのでしょうか?
「思いつき」と「アイデア」の違い
「思いつき」という言葉を辞書で引くと、
・ 急にひらめいたこと、ふと心に浮かんだこと、予め計画したことではなくその場で考えたこと。
「アイデア」という言葉を辞書で引くと、
・ 思いつき。新奇な工夫。着想。
・イデア。観念。理念。
確かに、「アイデア」には「思いつき」という要素は含まれているようですが、私たちデザイナーは、安易に具体的な施策を持たない「思いつき」を発するのは無責任且つ、逆に自分を苦しめることにもなりかねません。
私たちは、企業やその他社会のあらゆる問題を、デザインによって解決することが仕事です。そして、それらを解決する為の根幹となるものが「新奇な工夫」を持った「アイデア」なのです。
「アイデア」とは?
では、「アイデア」とは何か?
「アイデア」と呼ぶには、前提として「実現させたいこと」が必要であると思います。「実現させたいこと」、つまり「目的」を達成する為の具体的な施策・方法を持ってはじめて「アイデア」とよべるのではないでしょうか?そして「アイデア」によって「目的」のための本質をビジュアル化し、問題を解決することがデザイナーの職能であるといえましょう。
また、「目的」がなければ、何の価値もありません。単なる知識も「アイデア」とは言えないでしょう。実現させたい「目的」があって、それにつながる工夫や方法が見えることこそ、「アイデア」と呼べると思うのです。
「思いつき」の特徴
- 思いつきは物事の文脈を踏まえていない
- 思いつきには根拠がない
- 思いつきは具体的な施策につなげることができない
- 思いつきは問題を解決することができない
- 思いつきには理由のない自信がある
「アイデア」の特徴
- アイデアは物事の文脈を踏まえている
- アイデアは理由を説明できるだけの根拠を持っている
- アイデアは目的に向かう具体的な施策につなげることができる
- アイデアは問題を解決するための現実的なビジョンが見える
- アイデアはその解決方法が正しいかどうかを最後まで検証し続ける
まとめ
私たちデザイナーは、お客様に適切な「アイデア」を提案することが職能であると考えています。
もし、私が「良いアイデアが浮かびました!」とお客様にお話するときは、安心してください。「思いつき」ではない、実現するための具体的な施策と計画、その先にある明るい未来へつながる「アイデア」をご用意していると思ってください!
クリエイティブディレクター・アートディレクター / O.H