印刷物の入稿データの作り方 illustrator
〜これさえ注意すれば失敗しない!〜
最近ネット印刷が増え、誰でも手軽に低コストで印刷の発注ができるようになりました。しかし、よく分からないままネット印刷を頼んでしまって、想像していたものとは違った物が出来上がってくるなど失敗する人もいると思います。
- 写真がイメージしていたより、暗くてぼやけてる!
- 写真がすっぽり消えている!
- 印刷物のフチに印刷されていない部分があるよ!
- 文字が違う!
- 両面印刷の裏表が逆だった!
などこれらは全て、入稿データの作成ミスから起きることで、印刷会社のせいではないのです。完全データではなかったということです。
せっかく作ったのに!なんてならないように、これだけチェックしておけば大丈夫!な項目をあげたいと思います。
1.ドキュメントのカラー設定はCMYKに
RGBで入稿してしまうと、CMYKに変換されます。この変換がパソコンで見たときと印象が違う原因です。CMYKモードで作成し、イメージに近づけておく必要があります。また特色も消しておきましょう。
《RGBとCMYKの違いの詳しい解説はこちら》
2.画像の解像度を350dpiに
モニターで見る画像と印刷物に使用するカラー画像は違います。出来上がりが想像してたより、ジャギジャギしている原因はここです。これは解像度が低いためおこります。画像は原寸サイズで350dpiにしましょう。
3.画像を全て埋め込む
作成時、パソコンの中にある画像をリンクしているため、印刷依頼時に写真が抜けてしまう危険があります。リンク切れのトラブルを防ぐためにも配置した画像は、必ず埋め込み処理を行います。
4.フォントのアウトライン化をする
インストールされているフォントは個々のPC環境によって異なるため、アウトライン化をしないと入稿先で別のフォントに置き換わってしまいます。文字をアウトライン化し、パスオブジェクトに変換します。
全てのオブジェクトを選択→[書式]→[アウトラインを作成]
またフォントサイズも確認しておくことをおすすめします。7pt以下から視認性が低くなり、4pt以下で漢字などは潰れて印刷されてしまいますので、名刺などを作る時は要注意です。
5.トンボと塗りたしをつける
トンボは印刷物を断裁する目印のことで、このトンボに沿って断裁されます。断裁機を使ってカットするとき、ズレが発生するので塗りたししておきます。トンボをつくり3mm背景色と同じ色を塗りたします。
6.ドキュメントのラスタライズ効果設定を350dpiに設定する
ラスタライズ効果とは、「ドロップシャドウ」や「ぼかし」、「光彩」などのことです。この設定値が低いとそれらの効果は粗く印刷されてしまうので、350dpiに設定します。
7.余分なポイントやレイヤーを削除する
余分な孤立点や、何も入っていないレイヤーで印刷エラーが出る場合があります。必要のないレイヤーやポイントは削除しましょう。
8.オーバープリントを確認する
オーバープリントとは版に対して色を乗せるかという製版指定です。下の色を抜いて塗布するか、下の色に重ねて塗布するか。
例えば赤背景の中に黒で「A」の文字を印刷する場合。
- 「A」にオーバープリントを指定した場合
マゼンタ100% + イエロー100% で背景を赤く印刷した上からブラック100%で「A」が印刷されます。 - 「A」にオーバープリントを指定しない場合
マゼンタ100% + イエロー100% で背景を赤く印刷する際、「A」の部分は印刷されず紙の「白」が残る状態になります。その上から白い「A」と同じ位置にブラック100%で「A」が印刷されます。
白のオブジェクトをオーバープリント指定すると、印刷されなくなってしまうので属性からチェックを外します。
[ウインドウ]→[属性]→チェックボックスをクリック
以上です。
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最後に印刷を注文する時に紙も選ばないといけません。光沢、質感、厚みなど紙で印刷物の印象は大きく変わりますので、目的にあった印刷用紙を選びたいですね。
《紙について詳しい解説はこちら》
完全データをつくるには、たくさん工程がありますが、気をつけて作れば面倒ではありません。印刷物が思ってた仕上がりと全然違う!なんて悲しい思いをせず、印刷に出すのが楽しくなってもらえたら嬉しいです。
グラフィックデザイナー / Y.M